認知症の方との接し方 - 鳥取市 下田神経内科クリニック|脳・神経内科専門医

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サポートする上での留意点

認知症とともに、日常生活のすごし方が病気の進行に影響を与えることがあります。

認知症の方は言葉の理解が不自由になると、相手の表情、語気、まなざし、ふれあいというように、使っているコミュニケーションの手段が変化していきます。

次のようなことに気をつけながらサポートしてあげてください。

  • 視線を合わせて、明るい態度でゆったりとしたペースで接するように心がけましょう。
  • 規則正しい生活を送れるようにサポートしましょう。例えば、長時間の昼寝は夜間の不眠の原因となりますので注意しましょう。
  • 栄養バランスのとれた食事を規則正しくとれるようにサポートしましょう。
  • 散歩などの軽い運動に誘ってみましょう。
  • 自分でできることはなるべく自分でやっていただき、近くで見守るようにしましょう。

具体的な接し方

認知症の方によく見られる症状と対処法をまとめました。
もちろん一人一人に異なった習慣や感情があるのでここに書かれていることがすべてではありませんが、知っておかれるとよいと思われる代表的なものをご紹介します。

物忘れ

具体例:ごはんまだですか?
解決策:話題を変え、「忘れること」を利用する。

つい今しがた食べたばかりなのに、そのことをすっかり忘れてしまって催促するというのは、よくある症状です。大切なことは、何が事実かで争うことではなく、本人に納得してもらうことです。「さっき食べたでしょ」と言っても、「私は食べていません」と、かえって反感を持たれてしまいます。あるいは「自分たちだけ食べて私には食べさせてくれない」という被害妄想的な感情を抱きかねません。

こういう場合は「もうすぐできるから待っててね」とか「ちょっとつくるの手伝って」とか言って、待っているうちに忘れてもらうのが一つの手段です。また、何となく口寂しいとか、自分の好きな食べ物を食べさせてもらえない不満からこういう訴えをしている可能性もあるので、日頃から本人の好きな果物やちょっとしたお菓子などを用意しておいて「もうすぐできるから、それまでこれで我慢して」というふうにして機嫌をよくするやり方もあります。

妄想

具体例:財布を盗まれた
解決策:同じ感情を共有して、味方になる。

大切なものをなくしてはいけないと思ってどこかにしまい、そのまま忘れてしまうことがあります。
いざ使おうと思ったらそれがないので、「これは怪しい、誰かがとったに違いない」と疑うのです。

こういう場合は、「私じゃないわよ」と言っても、「自分がとったと自白する盗人がいるはずがない」となります。だから、「それは困りましたね、一緒に探しましょう」と、一緒に探しましょう。

もし見つかったときも、家族が見つけると「やっぱりあんたが盗んでいた」と言われてしまいます。ですから、自分の手柄にはせず「このあたりを探してみましょうか」とうまい具合に導いて自分で見つけてもらって「あったぁ、よかった」と、喜びを分かち合いましょう。

見当識障害

具体例:今日は何日だい?
解決策:同じ立場になり、不安を取り除く。

「今日は何日」というのは、何日かを知りたいというよりも、今がいつで、ここがどこなのかが不安だということの裏返しなことがあります。だから、何回でも繰り返して聞くのです。

そのときにつっけんどんな受け答えをすると悲しい思いをさせてしまいます。かといって、心に余裕がないこともあります。だから、決まったところに大きな日めくりのカレンダーをかけておいてもいいのではないでしょうか。で、一緒にその前に行き、「ああ、今日はX日なのね」と一緒に納得してみましょう。

人物誤認

具体例:あなたはどなたですか?
解決策:否定をしないで、まず受け入れる。

もう何年も一緒に暮らしているのに「あなたはどなたですか」といわれるのはやはりショックだと思います。でも、これは新しい記憶がなくなってしまうのだから仕方がありません。同じ理由で、別の人(その人の両親や兄弟、友人など)と間違われることもあります。そんなときには、強く否定しないでその人になりきってしまったほうがいい場合もあるようです。

また、泥棒だとか恨みを持っている人と誤認して興奮することがあります。そのときも、言い争うと余計ややこしくなりますから、一回姿を消してから、機先を制して「ただいま帰りました、XXです」といって、認識してもらうといった工夫をしてみましょう。

徘徊

具体例:帰り道がわからなくなる
解決策:高齢者の安全を守るネットワークづくりを

認知症の高齢者の中には、自分がまだ現役であると錯覚してかつてのように通勤を試みたり、何か用事を思いついて出かけてしまうということがあります。また、自分がいるところを自宅と認識できずに「家に帰る」と言ったり、何となく外の空気が吸いたい、歩いてみたいという理由で出てしまうこともあります。

できれば、一緒に出かけて、季節のことなど話しかけたり、公園で一緒に休んだりして、ひとしきり気が晴れたら自宅に帰るというのが理想的ですが、いつもそうできるわけではありません。

一人で出かけてしまうことがあるのなら、玄関の戸にベルをつけておいて、出たことがわかるようにするという工夫をしてみます。また、住所と名前と電話番号を書いた名札を着衣に着けたり、名刺を作ってポケットに入れたり、ペンダントとして首にぶら下げておくとよいでしょう。また、よく行く商店街やスーパーの人などに、一人歩きをしていたら教えてもらうようにあらかじめお願いしておくのも大切です。

幻覚

具体例:誰かが狙っている
解決策:説得よりも、まずは安心感を抱かせる

何もないところを指して「そこに妖怪がいる」「泥棒が狙っている」といって騒ぎ立てることがあります。

このようなとき、本人は本気で怖がっていますから「何もないじゃない」と説得しても納得しません。ですからひとまず別室に非難させるとか「私がいるから大丈夫ですよ」とか「一緒に退治しましょう」といって、安心感を与えてあげてください。

ただし、このような症状が何日でも続くようでしたら、早めに専門医にご相談ください。

性格変化

具体例:腹を立てて攻撃的になる
解決策:介護者が冷静になって対応する

認知症の高齢者の中には、性格が変わったように怒りっぽくなる人がいます。

原因の多くは、感情をコントロールする能力の低下や、様々な思いを上手に表現することが出来ないもどかしさだと思われます。だから、介護者が平静さを失っていえるとより増幅されます。むしろ上手に話題を変えながら、注意を別の方向に持っていくとか、とりあえず、その場を離れ、一定の時間、間をおいて本人が忘れるのを待つといった工夫が有効なことがあります。

もし、あまりにも激高するようならば、専門医の診察をおすすめします。
また、日常生活や環境をもう一度見直して、原因となることがもしあったらそれを改めるようにしましょう。

問題行動

具体例:失禁・不潔行為
解決策:激しく叱責することは逆効果

介護者がもっとも気を使い、めいってしまうのが失禁と不潔行為です。

不潔行為の多くは、「失敗したことを隠したい」という羞恥心や自立心の表れだとされています。ですから、厳しく叱責することが逆効果になることもあるようです。その人の生活のリズムで「そろそろ用便か」と思うときに一緒にトイレに行くといいようです。そして、もし失禁したときも「ちょっとぬれたから替えましょうか」とか「新しいほうが気持ちがいいですよ」と言って平静に始末をしましょう。

また、用便は健康状態を示すものです。ひどい下痢だったり便秘だったり、あるいは尿の出がわるかったら、すぐに医師にご相談ください。

認知症の方の気持ちを理解してケアすることが大切です

感情を表に出した場合にはおそらく認知症の方は家族に対して、うるさい人、嫌な人、怖い人というマイナスのネガティブな感情が残ると思いますし、「ありがとうございます。あとは私がやります」という対応をした場合には“私のやっていた仕事を手伝ってくれて親切だな”というふうにポジティブな感情が残ると思うのです。
大切なのは認知症の方を現実の世界に対応させるのではなく、我々が認知症の方の持っている世界を理解して、その世界に合わせた対応をするということです。

認知症の方にとって穏やかな気持ちで生活することが、随伴症状をはじめとする問題行動をおさせることになるのです。

また、介護者が余裕をもち笑顔で接することが、認知症の人の笑顔にもつながります。家庭内で介護するのが難しい場合などには、社会的サービスを積極的に利用しましょう。

認知症の方が作っている世界を理解し大切にする⇒その世界に合わせて対応する

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