鳥取市|脳卒中の再発予防 - 脳・神経内科専門医 下田神経内科クリニック

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脳卒中の再発予防

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脳卒中は、再発をくり返すほど、後遺症が積み重なって病状は重くなってしまいます。
再発予防に努めることは非常に重要です。

脳卒中再発予防の5本柱
  • 原因となった病気の治療
  • 生活習慣の改善
  • 薬物療法
  • 手 術
  • 定期検査

原因となった病気の治療

脳卒中の再発を予防するためには、まず原因となった病気の治療をおこないましょう。 脳卒中を引き起こす原因としましては、高血圧、糖尿病、脂質異常症などがあります。
  • 高血圧
  • 高血圧は、脳卒中の最大の危険因子です。血圧が高くなりすぎると、血管が痛んでしまい、動脈硬化を引き起こしてしまいます。 塩分摂取を控え、適度な運動を心がけてください。それでも数値が高い場合は、内服薬による降圧治療を行います。 血圧管理のため、家庭での血圧を測ることをおすすめします。 血圧が高い人は、早朝に血圧が上がりやすいので、起床後1時間以内に血圧を測って、目安にしましょう。

  • 糖尿病
  • 糖尿病は、血液の中のブドウ糖の量がいつも多い状態(高血糖の状態)が続いてしまう病気です。血液の中にブドウ糖が多い状態がつづくと、ブドウ糖が血管(動脈)にダメージをあたえて、動脈硬化になってしまいます。
    糖尿病の解消・改善・予防は食事療法・運動療法で血糖値をコントロールします。
    食事療法と運動療法でも血糖値が正常値にならない場合は、薬物療法を行います。

  • 脂質異常症
  • 脂質異常症は、動脈硬化の大きな危険因子です。
    脂質異常症は、自覚症状はまったくなくても、早く見つけて治療することが重要です。
    中性脂肪やコレステロールを下げる方法としては、食事療法と運動療法です。
    食事療法や運動療法で効果が出ない場合は、薬物療法を行います。

生活習慣の改善(誘因を除く)

脳卒中の再発予防に大切なのは、禁煙や食事、運動など生活習慣そのものを改善して健康的な生活を送ることです。一度、脳卒中を発症した方は、これまでの生活習慣を見直し、健康管理をしっかりとして脳卒中の再発を防ぎましょう。

規則正しい生活。ストレスや疲労をためない

食事は1日に3回、きちんととりましょう。
過労を避け、十分な睡眠時間をとるようにしましょう。
ストレスをためないためには、ストレスと上手につきあうことです。上手に気分転換する方法をみつけましょう。

 

水分を十分にとる

十分な水分をとらず、脱水状態となると、血液が濃くなり、固まりやすくなります。そうなると、脳梗塞のリスクが高まります。

特に、高齢の方は、こまめに水分をとるように心がけてください。日中の外出でからだを動かした時や、冬場でも暖房が効いた部屋に長らくいる場と、水分不足になる場合があります。
ただし、心臓や腎臓の病気のある方のなかには、水分制限が必要な場合がありますので、飲水については主治医に相談してください。

 

適度な運動をする

運動をすることにより、「筋力と持久力アップ」、「肺や心臓の働きをよくする」 「骨が丈夫になり、関節の滑らかさを保つ」 「肥満の防止」「ストレスが解消」などの効果があります。
また適度な運動は、不眠・肩こり、食欲増進、高血圧、便秘などにも効果があるといわれています。
後遺症で片麻痺などのある人も、体調に合わせて軽い運動をするとよいでしょう。

 

食べ過ぎない

肥満になると、糖尿病、高血圧、脂質異常症を助長し、動脈硬化の原因となる場合があります。
摂取カロリーを抑えましょう。
例えば、・糖分のあるお菓子やジュースを控える。・揚げ物、炒め物摂りすぎない。マヨネーズ、ドレッシングもほどほどに。
・果物にも果糖が含まれているため、果物のとりすぎは糖分のとりすぎになります。・まとめ食いや欠食は、余分なカロリーを消費しきれず、かえって太りやすくなるといわれています。夜食も控えましょう。

 

お酒を飲みすぎない

適度のアルコールは、コレステロールを下げるなどのよい働きもありますが、過度な飲酒は、血圧を上昇させ、脳内出血や、くも膜下出血など出血性の脳卒中の発症のきっかけとなります。
アルコールを分解する際には、体内の水分が失われるため、脱水になりやすく脳梗塞の誘因となります。
飲みすぎにはご注意しましょう。

 

たばこをすわない

禁煙または、たばこはやめるのが一番です。
脳卒中予防に大切なのは、血液の流れをスムーズにし、脳に酸素を送ることです。
たばこは血液をネバネバにし、酸素を運びにくくします。たばこを長年吸っていても、2年間禁煙するとリスクを減少することができます。5年間禁煙すると、もともとたばこを吸ってない人と同じリスクまで戻るといわれています。今からでもぜひ禁煙してください。

薬物療法:薬を飲んで血栓を防ぐ

脳梗塞の再発を予防するために、「抗血栓療法」を行います。これには、「抗血小板療法」と「抗凝固療法」とがあります。

抗血小板療法

動脈硬化のためにもろくなった血管壁は、血液の圧力で傷つきやすいものです。そこへ血小板が集まり、しばしば血小板による血栓ができ、脳血栓を招きます。そこで、血小板の働きを抑えて血栓ができるのを防ぐ「抗血小板薬」が用いられます。

 

抗凝固療法

動脈にできる血栓は、主にフィブリン(線維素)という成分と血小板からできています。フィブリンが主体のフィブリン血栓は、心臓弁膜症や心房細動(不整脈)がある人に発生しやすいです。

心臓内の血栓は、血液中の凝固因子が深くかかわって形成されます。抗凝固療法は、薬を使って、血栓ができるのを防ぐ療法です。
抗血栓薬は、予防のための薬です。、今ある症状を改善させるための薬ではないので、「薬を飲んでも飲まなくても変わらない」と思い、副作用などを心配してやめてしまう人が少なくないようです。処方された以上は、毎日飲み続けないと意味がありません。勝手にやめずに医師に相談しましょう。

*凝固因子・・・・・・血液が凝固するのに関係する種々の血漿成分

手術

頸の動脈に狭窄(きょうさく)(動脈硬化で細くなっている状態)があると、脳梗塞の再発の重大なリスクになります。
抗血栓療法や危険因子を管理しても不十分な場合は、手術(外科的治療)をする場合もあります。

 

手術が必要となるケース

『脳卒中治療ガイドライン2009』では、「症候性の頸動脈狭窄(症候性とは頸動脈狭窄が原因で脳梗塞を起こしたことがある場合をいう)で、狭窄率が70パーセント以上の高度狭窄である場合、手術前後の管理態勢が整っている病院で、熟練した医師によって頸動脈剥離術を行うことが勧められる(グレードA)」(要約)と記されています。

 

手術の内容

「頸動脈内膜剥離(ないまくはくり)術」という外科手術で、頸動脈の狭窄病変を取り除く方法と、血管内にステントという金属の筒を留置して血管を拡張させる血管内治療法の「頸動脈ステント留置術」の2種類があります。

 

頸動脈内膜剥離術:頸動脈のカスを取り除いてキレイにする手術

内頸動脈を切り開き、中にたまったプラークを血管の壁から慎重にはがしていきます。
丁寧に行いますので血管が破れることはまずありません。

小指の先ほどもあるどろりとしたプラークをはがし終えたら、血管の中を洗ってきれいにし、血管や皮膚を縫合します。

 

頸動脈ステント留置術:血管を拡張させる血管内治療

血管の中から狭窄部位を広げる治療です。頚動脈の狭窄部分に“ステント”と呼ばれる金属性の網状の筒を留置して、血管を正常径まで拡張させる手術です。

この治療は、内膜剥離術と比較して非侵襲的であり、高齢者やいろいろな合併症を持った方にも負担を少なくして行うことができます。術後の安静期間や入院期間も短いのが特徴です。

定期的に検査を受けましょう!

脳卒中の再発予防に大変重要なのは、定期的に検査を受けることです。

脳の太い血管に狭窄などがある方は、MRA検査、頸の動脈に狭窄がある方は、頸部超音波検査、心臓の悪い方は、心電図や心臓のエコー検査を定期的に行います。また、定期的に血液検査をします。

糖尿病のある方は、血糖値やHbA1c値、脂質異常症のある方は、コレステロールや中性脂肪などの定期的な血液検査が必要です。 日々の生活習慣を見直し、脳卒中再発防止にとどまらず、生活習慣病を予防し、より健康的に生活できるように改善していきましょう。

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